もう迷わない!鉄フライパンの選び方
使い捨てのフッ素樹脂フライパンから、鉄フライパンに変えたいという方がとても増えています。
数年前までは、鉄フライパンというと「男の調理道具」というイメージをお持ちの方が多かったのですが、最近は女性の方が多く、特に妊婦さんや小さなお子様連れのお母さんが、子供や家族の健康を考えて鉄フライパンを選ばれる方が多いですね。
店頭に鉄フライパンをお買い求めにいらした方々は、「フライパンを頻繁に使い捨てにするのがイヤ」という理由と共に、
「鉄で焼いて、いろいろなお料理を美味しくしたい。」
「いいものを永く大切に使いたい。」
「鉄分を毎日のお料理から自然に補給できると聞いたので。」
という方がほとんどです。
いずれもそのイメージは正しく、一度鉄フライパンを使うと「もう使い捨てフッ素樹脂フライパンに戻れませんねー。」というご感想も多数頂きます。
しかしながら、鉄フライパンをインターネットで探せばゴマンと出てくるものの、いろいろな種類があってどれを選べばいいのかわからず、いままで躊躇していたという方が圧倒的に多いですね。
そんな方でも選べるようにご説明します。
まず最初の大前提が
「これ一つあれば、どんなお料理も100点満点で美味しく出来る!」
というフライパンは存在しない。
ということ。
店頭に見える方の大半が、これを要望されます(笑)。
でもそれは例えるとかばん屋さんに行って、「登山に使えて、毎日の通勤にも使えて、リゾート旅行にも使いやすいオススメ品は?」とか、靴屋さんで「フルマラソンにも、フォーマルな席にも、マリンスポーツにも使えるオススメ品は?」という要望に近いかもしれません。
一口に鉄鍋・鉄フライパンといっても、LODGEのスキレットのような分厚い鋳鉄(ちゅうてつ → 鉄を高温で真っ赤にドロドロに溶かし、それを型に流し込んで作るもの)や、薄くて軽い鉄板の中華鍋など様々なタイプがあります。
下のグラフの通り、それぞれに向き・不向きがあるので、4つの異なるタイプで比較してみましょう。
【タイプ1: 鋳鉄(ちゅてつ)】
LODGEスキレット
ダッチオーブンと同じ、分厚い鋳鉄でできたスキレットは重いのですが、だからこその素晴らしい特徴があります。
鉄板に比べて、鋳鉄は熱の伝わり方(熱伝導)が穏やかで、しかも熱を蓄える力(蓄熱)が高い素材です。
例えば分厚いステーキを焼く場合、表面があっという間に焦げてしまうアルミでは中まできれいに火を通すことができませんが、スキレットなら表面を焦がすことなくきれいに焼き上げることができます。
またスキレットカバーを使用することにより、スキレットは「薄型ダッチオーブン」となるので無水調理得意です。
1kgのモモブロックで作るローストビーフ!オーブンいらずで出来るんです。
詳しくは こちら
【スキレットのおすすめ調理】
■ 分厚いステーキ
■ 餃子、お好み焼き、パンケーキ
■ 根菜類等のじっくり無水調理
【タイプ2: 鍛造(たんぞう)】
TURK(ターク)/ CLANK / METAL NEKO
鉄の塊を真っ赤に熱しては叩き、また熱しては叩きを繰り返して整形して作り上げる鍛造のフライパン。
厚みのある鉄は、スキレット同様素材の表面ばかりが焦げてしまうことがなく、中までじっくりと火を通すことができます。
そして何より、この鍛造フライパンは手作りなので一点一点すべて表情が異なるクラフト感がいい。
所有する喜びがありますね。
但し、ジャストフィットする蓋がないので、無水調理などは苦手です。
TURKで1ポンド(453g)のステーキもバッチリ焼けます! 詳しくは こちら
【鍛造フライパンのおすすめ調理】
■ 分厚いステーキ
■ 餃子、お好み焼き、パンケーキ など
【タイプ 3: 鉄板】
中華鍋
中華鍋も世の中にはいろいろな種類があります。分厚い鉄板でできた中華鍋もありますが、当店では1.2mmの薄い鉄板で作った山田工業所の打ち出し中華鍋を取り扱っています。
中華鍋のメイン調理法は「炒め」。薄い鉄板なら軽くて振りやすいのと、薄い鉄板は一気に高温になるので「強火で短時間で!」という炒め物の鉄則が生かされるのです。
但し、薄い鉄板なので、焼き物などは表面ばかり焦げてしまうので、中までしっかり火を通す調理には向きません。
鉄鍋伝道師流「俺の野菜炒め」 作り方は こちら
【中華鍋のおすすめ調理】
■ 野菜炒め、チャーハン など炒めもの
ちなみに、世の中の多くの方が使用している軽量なアルミ製・フッ素樹脂加工のフライパンはこんなイメージです。
このタイプは、鉄フライパンと正反対の性格です。
鉄の「熱しづらく冷めづらい」性格に対して、アルミは「熱しやすく冷めやすい」のです。そのためこれでお肉や餃子を焼くと、火のあたっている部分ばかりが焦げて、端っこの方は焼き目が全然つかない。
さらに表面は焦げているにも関わらず、中は半生という経験があるはずです。だから料理が難しいのです。
鉄フライパンは、長年使えば使うほど黒光りして使いやすく育ち、愛着が湧いてくる道具なのに対して、フッ素樹脂フライパンは買ったときが一番良くて、使えば使うほどこびりつきがひどくなり、最後はゴミとなってしまいます。
こんな観点からも、鉄フライパンとは真逆の道具だと思います。
【タイプ4: 鉄板】
AOM(アオム)
冒頭に記したとおり、「これ一つあれば、どんなお料理も100点満点で美味しく出来る!」というフライパンは存在しませんが、それを目指して作ったのが、当店オリジナル鉄フライパン AOM(アオム)です。
「薄くて軽い鉄のフライパン」が使いやすいと思っている方が多いのですが、それは表面ばかりが焦げ付いて中まで火が通りづらく、蓄熱力が少ないので、冷たい食材を入れると鍋肌の温度が一気に下がってしまい、こびりつきの原因となるのです。
一般的な鉄フライパンは、1.2~1.6mmという薄手の鉄板を使用する事が多いのですが、このAOMは2mmという厚手の鉄板で作っています。それにより、多少重くはなるのですが、スキレットや鍛造フライパンのようにじわじわ優しく火を入れる料理も得意なのです。
鉄フライパンとしては、万能に近いので鉄の美味しさを実感する最初の1枚にもおすすめです。
まずはメインのフライパンをこちらからスタートがオススメです。
きれいに簡単にオムレツが作れますよ! 作り方は こちら
【AOMのおすすめ調理】
一通り様々な調理法で愉しむことができます。
いかがでしたか。
鉄フライパンもこのようにそれぞれ特徴があるので、お好きな料理や調理法に合わせて選んで下さい。
種類の違う鉄フライパンが3種類もあると、より美味しくて豊かな食卓にりますよ。
VIVA! 鉄鍋クッキング!
※ レーダーチャートのグラフの数値は具体的な実測値ではなく、長年鉄鍋を使い続けてきた鉄鍋伝道師・山口の感覚値として表記しております。